前回の続き。見てない方はこちらからどうぞ。
悪化する日々
トークンエコノミーを始めたが、最初からうまくいくはずもなく。
結果、惨敗におわった。
それもそのはず。
今日は❌でいいや!
と開き直って好き勝手やっていたから。
トークンで決めたルールなんぞ、
まるで無視。
昼夜逆転が進み、学校にも行かずにゲーム三昧。
誰のなんの言うことも聞けない。
別にいいよ。入院するだけなんだから。
入院を完全になめている。
こんな状態で入院させることに意味はあるのかな。
2週間耐えればいいと思っているチンパンに何の意味がある?
ただ苦しいだけの入院では意味がない。
本人に苦痛を与えてどうする?
でも自分では何もできない。
自問自答を繰り返す日々が続く。
入院直前の診察
チンパンは医師に向かって私の愚痴をこぼしている。
ママが意地悪なことばっかり言うんだよ!
iPadやったらだめとか。
ほんと最低なママなんだ。
口から出るのは文句ばかり。
これでもかと好き勝手やっているのに、
欲求が満たされず、やめさせられることを
意地悪と主張する。
チンパンは、ゲームがない生活など想像できないだろう。
どれだけ入院が大変か知らないだろう。
一生知らずに生きていけたかも知れないが、もうどうしようもない。
意を決し、
ゴリラママ
チンパン、入院しよう。
二週間だけでしょ?
別にいいよ。
拒否する様子もない。
これもまた変な話だ。
いやだと必死に抵抗すべきところなのに。
普段なら、わからない事や初めての事に対してものすごい拒否反応を示すくせに、
入院に対してはすんなりと承諾した。
どこかで自分もこのままじゃダメだと思ったのかな?
チンパンがどういう思いで、なにを考えてるか全く読めない。
この時、親子関係は破綻し、普通の会話も出来ないから、理由を聞くことはできないし、わかりあえなかっただろう。
5日後に控える入院を予定変更せずに決行することにした。
この日から眠剤ルネスタ1mgが開始となる。
薬を飲んでも、その薬効にさえ逆らいながら夜更かしを繰り返す。
入院を決意させる出来事
入院予約を済ませ、決めてきたつもりだけど内心まだ迷っていた。
この時は日々の暴言暴力、飛び出しは当たり前の日常すぎて何とも思わなくなっていた。
完全に麻痺していた。
だから自分さえ我慢していれば何とかなるという思いが繰り返されてしまい、心が揺らぐのだ。
でもそんな時、決意させる出来事が起きた。
それは、入院2日前に誕生日を迎えたチンパン。
プレゼントとして、新しい自転車を買った。
そう、おなじみのBMX
これには鍵がついていないのでダイヤル式の鍵を別に買った。
ウキウキしながら何度も玄関にある自転車を眺めに行き、乗り降りを繰り返している。
早くこの自転車でどこかに行きたいチンパン。
学校も行っていないので暇を持て余している。(だったら学校行けよ💢)
家にいても何をしてもイライラするので、お気に入りの自転車を走らせようと、目的地を決めずにサイクリングをすることにした。
え?いいの??!
やったー!!!
テンション上がりまくりのチンパン。
これはいい気分転換になるし、我ながら良い提案をしたな~と思っていた。
しかし、
そうはうまくいかない。
早くも外に出たことを後悔する。。。
それは車一台と通行人がやっと通れるような細い路地で自転車を走らせていると、うしろから車が来た時のこと。
今の車はエンジン音が静かで、いることに気が付かず、振り返って真後ろにいてびっくりしたことはないだろうか。
まさにその現象が起き、その車はクラクションも鳴らさず、のろのろ走る私たちの自転車の様子を見ながら走っていてくれた。自転車を急かすことなくタイミングを見計らって追い抜いてくれたのだ。(なんと心優しいドライバーなのかしら)
車に全く落ち度はない。
しかし、チンパン目線では違う。
車が突然現れた!と認識し、びっくりしたために自転車ごと転倒してしまった。
その瞬間、
チンパンの何かがキレる。
車のやつ、ぜってぇーぶっ殺す!!!!
ぶん殴って殺してやる!!!!
と走り去る車を追いかけようとした。
チンパンの思考はきっとこうだ。
- 急にきた車にびっくりした
- 新品の自転車が倒れて傷ついた悲しみ
- 転んで痛い
これらの感情がうまく表せないから
車のせいにするしかない=ぶっ殺す
になるのだ。
必死に止めてクールダウンをさせる。
こういう時に効果的なのは、
まず本人の傷の痛みやびっくりしたことに共感してあげることだ。
ケガしてない?!
大丈夫?
びっくりしたねー!
そうすることで一度ぶっ殺したいという気持ちからそらすことができる。
そうしたらこっちのものである。
後は次に大事な自転車の心配をする。
なにか擦れていたり傷がついていても、「大丈夫」「なんともない」と言い張る。
ここで逆にキズを指摘すると、ぶっ殺したい気持ちを再燃する恐れがあるので要注意。
そして同じ場所にいるとまた怒りを思い返してしまう可能性があるので、速やかに場所を移動する。
そこでさらに意識をそらすために、
新しい鍵のかけ方教えてよ!
と、全然今必要ではないが、こんなことを聞いてみる。
すると、自慢げに教えてくれる。
これでチンパンは車の人をぶっ殺さずに済んだのだ。
でもさ、これ、、、、
私がそばにいたからここまでできるけど、
いない時に起こったらどうなるんだろう。。。。
想像しただけで震える。。
確実に事件や事故になりかねない!
((((;゚Д゚))))ガクガクブルブル
これはもう家族でどうこうできる問題ではないことに気づかされた。
チンパンがこれから生きていくためには、私がいなくなった後も、社会の規律にあわせた行動ができないといけない。
その一歩がまず家庭だ。
それすらも出来てないんじゃ、社会でなんてもっと無理な話である。
だから、入院という手段を使って親子関係の再構築、生活リズムを正して行こうと決意した。
訪問看護導入
何度も決意しては打ち消し、決意しては気持ちが揺らぐ。
本当にそれでいいのか。
決意する出来事があってもなお、私はうじうじ悩んでいた。。。
それでもまだ、どうにか入院以外でチンパンを救うことができないものか。
希望を捨てきれなくて。。。
そして、
とにかく私の話を聞いてほしくて、
私の選択が間違っていないと言ってほしくて、
そんな思いで、訪問看護師さんと初対面を果たした。
訪問看護師さん(以下、訪看)には、自己紹介も早々に、これまでの話や私の思いのたけを一気に涙ながらにしゃべり倒した。
それほどまでに溜まっていたのだろう。。。
自分でも驚いた。
私の圧がすごかったのか、訪看さんも涙を浮かべながら話をひたすら聞いてくれた。
(傾聴ってやっぱありがたい)
訪看さんも同じように不登校で苦しんだお子さんがいて、
「手に取るように気持ちがわかる!」
と気持ちを汲み取ってもらい本当にわかってもらえた気がして本当に救われた。
入院させることで、本人の心の傷になってしまわないか、親子の絆にヒビがはいるのではないかと不安をぶちまけ、優しく受け止めてくれたことで、私の決意は固まった。
決意
チンパンのことが嫌いで、どうでもよくて傷をつけたくて入院させるじゃない。
チンパンと過ごす明るい未来をつかむための一歩として、
親子関係の再構築、
正しい生活リズムを獲得するために、
落ち着いた生活を送るために、
前を向くために
入院という手段をとるんだ。
もう前を向くしかない。
チンパンとともに頑張っていこう。
笑顔で暮らせるように。
生まれてきてよかったと胸張って言ってもらえるように。
踏ん切りがつかない自分に、繰り返し言い聞かせて納得させるしかなかったかもしれない。
でも、私はチンパンと共に笑って生きていきたいから前に進みます。
チンパン、、、
苦しいこと、辛いこと、たくさんたくさんあるけど一緒に乗り越えていこうね!
この先何があろうとも、
私はチンパンの味方です。
この先何があろうとも、
世界一大好きです。
この言葉は伝え続ける。絶対に。
つづく。。。