入院準備(入院前日)
様々な葛藤を経て、とうとうこの日が来てしまった。
あんだけうじうじ葛藤を書いたけど、
実は内心まだ葛藤がある。
そんな思いを抱えたまま入院準備を進める。
入院をするにあたって、
精神科は特に持ち物の制限が厳しい。
チンパンの入院する病院の場合
✖ズボンのヒモ
(全部取る。子供用なんてほぼ入ってるから大変)
✖フェイスタオル
(小さいハンドタオルは〇)
✖ひも付きの靴
(サンダル、スリッパは〇)
✖ひも付きのビニール袋
(紙袋は〇)
後は一般病棟も共通だけど爪切りなどの刃物や鋭利なものは全部✖
浴衣、フェイスタオル、バスタオルなどはレンタルすることになっている。
自傷、自殺や他害防止のため、徹底している。
チンパンの病院は小児病棟がなく、大人と一緒に入院することになる。
その分、不安は大きい。
年の近い子といっても中学生、高校生で、小学生はいない。
十分に安全には配慮してくれるとのこと。
ズボンのひもを一本一本引っこ抜き、
すべてのものに名前を記入する。
この作業をすることで
チンパンは本当に精神科に入院してしまうんだなー。。。
胸がぎゅっと苦しくなった。
何度も涙をぬぐいながら準備を進める。。。
入院当日の朝~静かなる攻防戦~
入院直前に暴れだす子もいると聞いたので、タクシーを事前に家の前に呼び、荷物は玄関にまとめておいた。
後はチンパンさえ車に乗ってくれれば、スムーズに病院に行ける手配をした。
こちらの準備はバッチリだ。
後はチンパンが爆発せずに行くだけ。
さぁ、ここからが勝負。
入院前まで一切抵抗をしてこなかったチンパン。
しかし、朝はいつも通り機嫌が悪い。
えー!なんで行かなきゃいけねぇんだよ!
めんどくせーな!
お前が行け!
多少抵抗は見られるが、着替えたり外に行く準備はなんとなく行っている。
時間が迫り、タクシーが待っている。
しかし、
私がここで焦ったら爆発が起きる。
私の方は、そわそわして落ち着かない。
一方チンパンは、テレビをみてくつろいでいる。(イラっとポイント)
こちらのイライラが伝わらないように必死に押し殺した。
タクシーの運転手が、待ちくたびれて何度も電話をかけてくる。
料金がかかってもいいので、待ってもらうことにした。
入院時間が着々と迫る。
とうとう私もしびれを切らし、
先に荷物運んでくるね~
あ!運転手さん女の人だったよ!
優しそうな人で良かったね~
など、気がこちらに向くように話しかけ続ける。
しかしチンパンは、
スーパーあまのじゃく!!!
(すごくイラっとポイント)
えー!
男じゃないと行かない!
登校しぶりと同じような交渉が始まった。
それでもなお、
ねーチンパン。
荷物ちょっと重いから手伝ってー
と、なんとか玄関までこさせたい。
チンパンは全部無視!
もう時間的に限界なので
今のテレビが終わったら来てね
と伝え待つことにした。
しばらくして、チンパンは重い腰を上げ、やっと玄関に来た。
ごちゃごちゃ文句を言いつつもタクシーに乗る。
こうして静かな攻防戦を経て、
家からの脱出は無事成功!
(内心いつ暴れるかヒヤヒヤして、
一人汗だくだった。)
何かを察したのか、
タクシーではお互い無言で外の景色を見ていた。
何か声を出したら泣きそうだったから。。。
不安を与えないように泣かないでいるので必死だった。
入院前の診察
病院に無事到着後、待合で静かに待つ。
ここでも、二人とも会話はほとんどしていない。
チンパンの顔をみたら泣きそうだし、
なんて声をかけていいのかわからず、
名前が呼ばれるのをただただ待っていた。
診察室にて、
今回の入院目的
①規則正しい生活
②内服管理
③大人に反抗しない
診断名
ADHD、反抗挑戦性障害、軽度知的障害
治療計画
薬物調整、生活指導、作業療法を中心に進める。
11/19-12/5までの17日間の入院
うち、試験外泊2回
面会日:21日、25日(この日の面会後、外泊し27日15時に病院に戻る)
12/2 (この面会後、外泊し5日退院とする。)
はじめの二日間は隔離部屋で、面会後大部屋に行く予定。
1日に一回、看護師から報告の電話をくれるので、チンパンの様子はそこで知ることになる。(チンパンの声は聞くことが出来ない)
上記の内容で入院が決定され、これから入院となる。
診察室でも特に抵抗を見せないチンパン。
素直に医師の会話を聞いている。
逆に落ち着きすぎて怖かった。
受け止めすぎている気がする。
その姿を見て、罪悪感がグッと押し寄せ胸が苦しくなった。
診察後、
入院するにあたり、たくさんの入院書類にサインをしなければいけない。
精神科は特に書類も多い。
- 入院診療計画書
- 医療保護入院同意書
- 貴重品に関する同意書
- 病棟の規則を守る同意書
- レンタルや私物の管理の申請書、同意書
- 医学の研究データ利用の同意書
- 事故に関する同意
- 入院誓約書
- 治療法の選択について
- 治療に関する同意書
- 薬物の規定容量以上・用法外投与に関する同意書
- 身体合併症の治療に関する同意
- 行動制限
- 電気けいれん療法・麻酔・処置同意書
(看護の勉強で見たから、どういうことをするのかわかるだけに、これにサインするときは怖かった~。)
- リビングウィルの表明
(簡単に言うと、死にそうなときに救命処置をするかしないか、するならどの程度までするかといった意思表示。)
このサインも怖かった。
この同意書にサインすることは、何があっても同意のもとで行ってるから、言わないでくださいねのやつ。(当たり前だけど)
でも、それって実際怖い。
子供をここに預けて、何があっても責めないでくださいねと言われているようで。。。
てか、、、
書類多すぎじゃね?!??!
こんなにメンタルがザッキザキにやられている人にこの量と内容はやばかった。
思わず、事務の人に
あのー、これに全部サインしないと入院できないんですよね?
思考停止してるから、当たり前のことを聞き始める始末。
いざ入室。チンパンとの別れ
これらを書き終わると病棟の看護師が迎えに来た。
そのまま看護師に連れられて病棟に上がっていく。
精神科病棟は施錠が基本であるため、各所の扉に鍵がかかっている。
外来から病棟まで行くには、病棟に上がるエレベーター前にドアがあり、そこにももちろん鍵がかかっている。
そのドアの前でチンパンと別れるのだ。
つまりそのドアを通ると
チンパンとは簡単にコンタクトが取れなくなる。。。。
閉鎖病棟とはこういうことを言う。
そのドアに向かって、
チンパンは看護師に促されるまま歩き出す。
チンパンは一度も振り向かずにそのドアの方へ。。。
ガチャンっ
重たい扉がしまる。
そんなチンパンを目で追いかけることしかできなかった。。。
その小さな背中には何か覚悟が見えた気がした。。。
重たい扉がしまった瞬間から私の涙腺は崩壊した。
その場に立ちすくみ、チンパンがいるほうをみて「行ってらっしゃい」と小さくつぶやいた。
ドアという塀が何とも分厚く感じ、
あそこをくぐると、チンパンは入院患者というくくりになり、
医師の指示がなければ何もできない。
そう。もう簡単に外に出られないのだ。
チンパンを檻に閉じ込めてしまったようで胸が張り裂けそうだった。。。
その後、帰宅するために、バス停へ向かう。
チンパンの病院を横目にバスに乗り込んだ。
「チンパン、頑張れ。。。」
と心の中でつぶやきながら、
バスの中で一人泣きながら帰宅した。
こうしてチンパンの入院生活が始まる。。。。
つづく。。。