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日々の電話
毎日11:00~12:00の間に10分間の電話がある。
この1時間は、私は何も手につかない。
ただ、電話を待っている時間。
待ち遠しくてしかたない。
私の唯一楽しみな時間だが、お互いに語彙力が乏しく、会話が続かない。
基本YESかNOで答える質問か、単語で答えられるようなことしか聞けない。
病院の日常は代わり映えのない日々。
話すことも尽きてくる。
変に未来のことを話しても悲しくなるし、かといってちゃんと寝れてるか、食べてるかなんて聞くほうも飽きたし答える方も飽きていた。
沈黙でも、
チンパンと繋がっている時間が嬉しくて、
吐息が聞こえるだけで、
ただそれだけで十分だった。
試験外泊ルール
待ちに待った試験外泊の日。
その日は15時の外泊前診察を行い、
外泊中のルールを再確認。
- 病院と同じ生活リズムで過ごす
- ママに反抗しない
- 薬はちゃんと飲む
- 学校へいく
これらを守ることを約束し、
いざ、久しぶりの我が家へ💨
家に帰るにはバスに乗らなければいけない。
果たして、無事に帰れるのだろうか。。。
家までの帰路、20分
チンパンにとって、久しぶりの青い空と外の空気。
なんだかとっても嬉しそう✨
病院の窓からいつも眺めていた世界に、
約一週間ぶりにやってきたもんだから、
辺りをキョロキョロ。
あ!このバイク、いつも病院から見えるやつだよ!カッコいいー!
おっきくなったら買う!ぜったい!
時間をもてあます病院で、チンパンはいつもホールの窓際にいた。
そこがチンパンの定位置になっていた。
そこでいつも外を眺めていた。
どれほど外が恋しかったか。。。
どれほど家に帰りたかったか。。。
その様子がすべてを物語っている気がした。
バス停につき、少し待ってバスに乗る。
面会の時とはまた別人で、活気があり、いつものチンパンに戻りつつあった。
しかし、前のチンパンと違うのは、
- バス停で大人しく待っている
- バスの中で静かに座っている
バスで20分の道のりが
予定通り20分で帰ってこられたのだ!!
これがどれ程凄いことか、こちらをみてほしい。
いつものチンパンならば、片道1時間の道のりを基本3時間かかってやっと移動できるのだ。
そのチンパンが、、、
あのチンパンが、、、
こんなにもスムーズに公共機関に乗れている!
顎が外れるくらいの驚きである。
私はいつ騒ぐかドキドキしながらバスに乗っていたが、そんな心配などいらなかった。
なんてことない見慣れた風景だけど、
バスの窓から見える外の景色が、
こんなにもゆっくり流れて、
こんなにもきれいに見えるなんて、、、
この景色を二人で楽しむ日がくるなんて。。。
窓にうっすら写るチンパンと私の姿をみて余計泣ける。
こんな風に落ち着いて、二人で並んで座席に座れているのだから。
入院前なら
こんなことは絶っっっ対にあり得なかった。
うぅぅぅぅ(TДT)
チンパンの成長に泣けてくるよぅ~。
こんなにも人って変わるんだな~
ほんとに目の前の出来事がスゴすぎて、チンパンと一緒にいる感じがしなかった。
公共機関にこんなに楽に乗れたのはいつぶりだろうか。
バスってこんなにも穏やかな時間が流れるんだね。
この揺れさえ心地いい。
20分なんてあっという間。
すぐに家についてしまった。
試験外泊1日目の始まり
家に着くと、落ち着かないチンパン。
病院と違い、家には物が沢山ある。
それが落ち着かないのだろう。
テレビもテレビカードなしで見れてしまうし、誘惑が多すぎるのだ。
暇をもて余した結果、
机の回りをぐるぐる回りだす。
((((;゚Д゚))))ガクガクブルブル
何かに取りつかれているかのようで怖かった。
今までこんなことはなかった。
(そりゃそうだ、暇さえあればゲームだったんだから)
なんか心配になるくらいずっと回っている。
家にいるときのゲーム以外での暇潰し方法を知らない結果がこうさせたのだ。
私もテレビが大好きで、暇さえあればつけておきたいタイプだが、チンパンの環境を保つため、テレビもつけずに、チンパンのぐるぐる回っている様子を見るしかなかった。
約束のハンバーグ
暇だとぐるぐる回ってしまうので、夕飯の用意を手伝ってもらうことにした。
これは電話で約束したこと。
チンパンの大好きなハンバーグを一緒に作るのだ。
チンパンのやる気は十分!
しっかり手を洗い、手には包丁を構え、切るものがくるのを待っている。
じゃあ、
玉ねぎを細かく切ってくれる?
いーよー
ザクッ
なんか臭いからこれやだ。
速攻手を洗いに行く。
うん。一回切ってくれたから、、
ありがとう。
その後ビニール袋をはめて肉をこねる作業の手伝いをお願いした。
これならやるー!
ネチョ、
ペチペチ
(ボールから)こぼれちゃうからやだ。
うん。
ネチョってしてくれた!
チンパンがこねた!
ありがとう。
こうしてチンパンの暇潰しは一瞬で終わってしまい、作り終わるまでぐるぐる机の周りを回っているのであった。
3人で囲む食卓
祖母とチンパンと私の三人で久しぶりの食卓。
祖母との感動の再会を果たし、
おばーちゃん、これみて!
ママと僕で作ったんだよー!
自慢気に話していた。
うん、ちょっと納得できないが、
まぁよしとしよう!
二人で作業なんて今まで
あり得なかったんだから!
そういえば今のところ、
家から飛び出しも暴言も暴力もない。
平和に家で過ごせている。
これで百点満点じゃないか。
チンパンの目に輝きが戻ってきて
ホッとしている。
今日は、久しぶりに一緒の布団で寝る。
となりのチンパンは、モゾモゾしている。
嬉しくてなかなか寝付けない様であった。
可愛すぎる。
いや、愛おしい。
目いっぱい抱きしめながら眠りについた。
明日も無事に過ごせますように。。。
つづく。。。